2日目 田丸→三瀬谷
地図:1日目~8日目までの行程は
熊野古道伊勢路イラストマップがとても参考になります。詳しい地図ですので、プリントアウトして持ち歩いてください。
田丸を朝の8時に出発すると夕方の6時半には三瀬谷に着くことができます。2日目の行程では、この熊野参詣道でで最初の峠越えである女鬼峠道があり、いよいよ紀伊半島に分け入って行くことを実感できます。二日目は足も痛くなり始めますから、足のメンテナンスと休憩をお忘れなく。
8:00 田丸出発
栄亭旅館を出発し、宿の前の道を入っていきます。田丸の町を抜けると、田園地帯を歩きます。遠くにやぐらで組んだブサイクな天守閣のつもり?が見えます。田丸城は織田信長の次男信雄が現在の形に修築した城で、伊勢でも一、二を争う名城です。意味不明なやぐらを建てるくらいなら、立派な石垣がきちんと見えるように木を切ればいいのにと思うと、残念です。
8:45 サークルK(コンビニ)
歩き始めて30分ほどで、コンビニがあります。これより先、三瀬谷まで沿線にコンビニはありません。ここで必要な飲料水、食料は購入し、トイレも済ませましょう。
この先は、車道沿いを歩きます。かつては蚊野松原と呼ばれ、マツタケが良く取れたと、『西国三十三所名所図会』には描かれていますが、今は柿の果樹園が続きます。
9:30 石仏庵
『巡礼手引観世音』の石柱の立つ、石仏庵に到着します。ここの石柱の側面には次の言葉が刻まれています。
「巡礼を 導きたまへ 観世音 きよき不浄の人を選ばず」
観音様、世俗にまみれた私たち庶民も、巡礼の旅へと導いてください、という意味です。いまからおよそ250年前に建てられ、当時のガイドブック『西国三十三所名所図会』にも全く同じ様子が描かれています。巡礼旅の始まりに、必ず参拝したい場所です。
このあたりは集落が非常に綺麗です。伝統的な日本家屋の町並みが残っています。土蔵にも立派なものが多く、屋根の飾りにも特徴があります。
10:00 永昌寺
玉城町から多気町に入りました。永昌寺門前のお地蔵様に手をあわせます。
注意!永昌寺の横を、お寺の塀に沿って歩くと、道を間違います。お寺から、左斜め前方に分かれる、集落のほうに向かう道が正解。
10:10 『左さいこく道 右よしのかうやみち』道標
永昌寺をでて、左斜め前方に分かれる道を入り、角を曲がるとすぐにこの道標があります。この道標を左へ。『さいこく道』とは、西国三十三箇所観音巡礼道の意味です。那智山青岸渡寺が第1番札所のため、熊野参詣道を『さいこく道』と呼んでいるのです。
手作りの看板があり、それにしたがって進みます。
10:45 女鬼峠道
最初の峠道である女鬼峠道に入ります。今では女鬼峠(めぎとうげ)と呼んでいますが、かつては「禰木峠」「ネギ峠」と呼んでいて、女も鬼も関係ありません(笑)。入口から10分で峠に着きます。
峠は切りとおしになっていて眺望がききません。体力に自身のある方はすこし頑張って、展望台へ上がってください。みはるかす、紀伊山地の山々が一望できます。
祈りの道にふさわしく、峠には観音像や六字名号碑(南無阿弥陀仏の文字を刻んだ石碑)があります。いずれも江戸時代。
峠道を下りてくると、道標があります。道標にしたがって、右へ。
さらにすぐ左へ入って集落内に進みます。集落内にも道標があり、それにしたがって右へ。手作りの道標もあり、分かりやすいです。
11:30 多気町町民バス「西相鹿瀬バス停」前公園
ここにはトイレがあります。トイレ休憩をとりましょう。トイレはこのあと、昼食をとる場所までありません。

このあたり、参詣道に寄り添う宮川と紀伊山地の山々が実に美しいです。
12:30 無量山千福寺
通称「柳原観音」、巡礼手引観音とも言います。
ここはかつての巡礼が必ず参拝した古刹です。ここも、『西国三十三所名所図会』に描かれているのと全く同じ風景が広がっています。蝋燭や線香も上げることができるのでぜひお参り下さい。建物にチャイムがあって、押すと住職が出てきてくれます。
☆朱印がいただけます。
13:00 昼食
女鬼峠を越えて初めて、いや、この日唯一の沿道沿いの食事処「はせ川」です。これを過ぎると、三瀬谷まで食事が出来る店は街道沿いにはありません。
メニューは、トンカツ定食800円、味噌カツ定食900円、やまかけ定食、うどん、など。話を伺うと、「時々、熊野参詣道を歩くお客さんが困って入ってくるので店をあけてるんです。」とのこと。味噌も漬物も全部手作りというだけあって、侮れない美味しさです。
お食事処「はせ川」
電話:0598-85-0284
住所:多気郡大台町柳原356
14:00 酒蔵で日本酒を試飲
食事処「はせ川」のすぐ向かい、街道沿いに酒蔵を構える酒造会社です。南勢きっての銘酒、「八兵衛」を醸しています。ここでは、お願いすれば日本酒の試飲をさせてもらえるほか、気に入れば購入して発送をしてもらえます。歩き旅が終わって自宅に戻ると、日本酒や酒粕が届く、というのもなかなか乙なものです。なお、酒蔵を見学するのには事前の申し込みが必要ですから、ご注意を。
元坂酒造
住所:多気郡大台町柳原346?2
電話:0598-85-0001
http://www.gensaka.com/
14:45 阿弥陀寺
このお寺では朱印がいただけるのか分かりませんでした。
このあたりは、茶畑がひろがります。実は三重県は茶の生産量全国第3位の茶所なのです。
15:00 栃原
栃原の集落から、JR紀勢本線によりそって歩きます。体調が悪くなったり、足が痛くなったりすれば、JR栃原駅、川添駅で乗車することができます。
栃原には岡島屋さんという旅館が街道沿いで営業を続けています。伊勢を朝8時に出発すると、一日でこの栃原まで来ることが出来ます。
岡島屋
住所:〒519-2423 三重県多気郡大台町新田26
電話:0598-85-0014
栃原を過ぎると、こんな看板を目にすることが増えます。

茶畑と美しい山々が見えます。
16:30 JR川添駅
ここでJRに乗れば、その日のうちに新幹線で東京まで戻ることが出来ます。また、松阪からでる東京行きの夜行バスに乗ることも可能です。
旧郵便局。味わい深い建物です。ぜひ、巡礼歩き旅のインフォメーションセンターにでも改造して、残して欲しいです。
17:30 坂瀬峠
はるかに、三瀬谷の集落の明かりが見えます。この峠は、昔の峠道と国道42号線が重なっていて、横を車が多く通るので、歩くのが苦しい峠です。峠を越えてしまえば、再び旧街道。三瀬谷までもう一息。
18:30 三瀬谷(旅館)
三瀬谷の旅館に到着。すっかり夜で、かなりの疲労感です。今回宿泊した大黒屋は料理屋を併設しています。食事はボリューム満点、味はなかなかのものです。なお、三瀬谷には大黒屋旅館と、萬栄旅館の2軒の旅館があります。
大黒屋旅館
1泊2食付 6300円
住所:三重県多気郡 大台町佐原646-2
電話:0598-82-1014
室内備品(H24現在) テレビ、お茶セット、浴衣
浴室に歯ブラシ、タオル、バスタオル、ドライヤー
http://www.ma.mctv.ne.jp/~ken/
※ スタンプはなし
萬栄旅館
住所:〒519-2404 三重県多気郡大台町佐原648-4
電話:0598-82-1107
客室総数11室 チェックイン16:00 チェックアウト8:00
http://www.manei-1107.com/ |
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歩き旅のルート
1日目
伊勢(内宮)→田丸
2日目 田丸→三瀬谷
3日目
三瀬谷→崎
4日目
崎→古里
5日目
古里→尾鷲
6日目
尾鷲→賀田
7日目
賀田→新鹿
8日目
新鹿→熊野市
9日目
熊野市→丸山千枚田
10日目
丸山千枚田→楊枝
11日目
楊枝→熊野本宮大社
12日目
熊野本宮大社→熊野速玉大社
13日目
熊野速玉大社→熊野那智大社
歩き旅の参考になるサイト
○ガイドマップ
熊野古道伊勢路イラストマップ
三重県作成のマップ集。熊野古道伊勢路図絵というのは良くできています。これを見れば、伊勢神宮から熊野速玉大社まで歩くことはできるでしょう。ただし、宿屋や食堂の情報はありません。
○宿泊施設情報
東紀州の宿泊施設
紀北町以南の宿泊施設について紹介されています。細かい宿まで載っているのがGOOD。ただ、地図がないので、住所から調べないといけないのが玉に瑕です。
○先人のブログ
三重県のダイビングと熊野古道など
何度かに分けて、伊勢路を伊勢神宮から熊野本宮大社まで走破しておられます。特に、熊野市から横垣峠、風伝峠、本宮道、万歳峠をへて熊野本宮大社まで行かれた記録はこの記録しかないでしょう。後半戦で非常に参考になります。ただし、御浜町尾呂志で宿泊された舟木屋はなくなりましたので注意が必要です。
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